人を増やすべきか、それとも単価を上げるべきか。どちらも必要だと分かっていても、限られた資金と時間をどちらへ先に振り向けるかは、社長が一人で抱えこみやすい判断です。本記事では、この問いに対する順番の答えと、迷いを断ち切るための「一人当たり粗利」という物差し、そして増員がかえって赤字を膨らませてしまう仕組みを、顧問先200社を支援する税理士の実務目線で解説します。
この記事の結論:どちらもやるべきですが、順番は圧倒的に「単価が先」です。単価を上げるとは、ビジネスモデルを磨いて価格に見合う付加価値をつけることを指します。判断の物差しは一人当たり粗利ひとつで、これが減っている状態で人を増やすと、下がった粗利を埋めるだけで利益は増えず、人件費だけが増えます。増員の前にやるべきことは、業務改善です。
Contents
「人を増やすか、単価を上げるか」で止まっていませんか
「そろそろ人を増やさないと現場が回らない」「でも、その人件費を払えるだけの単価になっていない」——この2つが同時に頭にあると、判断は止まります。どちらか一方が明らかに間違っているなら悩まないはずで、どちらも正しく見えるからこそ決められないのです。まずはこの問いに、順番という形で答えを出します。
どちらも「やらない理由」が見つかってしまう
増員を考えると「教える時間がない」「今の粗利で払えるのか」という不安が出てきます。値上げを考えると「取引先に説明できない」「他社に切り替えられたらどうする」という不安が出てきます。どちらにも、動かない理由が用意されているのが厄介な点です。結果として「もう少し様子を見よう」となり、判断が翌期へ持ち越されます。しかし、この問いは放置すると悪化する種類の問題です。人件費も材料費も電気代も上がり続けるため、何もしないという選択は、実質的には「利益を減らす」という選択になってしまうためです。
迷っている間に、粗利は毎年削られていく
中小企業の現場で起きているのは、単価を触らなさすぎる、という状態です。人件費・材料費・エネルギーコストが上がるなかで単価を据え置けば、1件あたりに残る粗利は自動的に減っていきます。ここで重要なのは、これが努力不足で起きている現象ではないということです。値上げの交渉に踏み込めない事情は、どの会社にもあります。ただ、事情があるかどうかとは無関係に、据え置いた分だけ利益は削られるという構造は変わりません。だからこそ、感情ではなく順番の問題として整理する必要があります。
結論:順番は圧倒的に「単価が先」
先に答えを申し上げます。人か単価かで言えば、どの企業も最優先事項は圧倒的に単価です。理由は後述しますが、核心は単純で、単価が整っていない状態で人を増やしても、増えた人は「下がった粗利を埋める」ために働くことになり、利益は増えないまま人件費だけが増えるからです。もちろん例外はあり、後半で「採用を先にすべき3つの状態」として整理します。ただし原則は単価が先であり、この順番を逆にした会社が最も苦しくなります。
▶ 関連コラム:値上げの判断基準|失う客と残る利益(どの取引先から単価を見直すか、その順番の決め方)
なぜ「単価が先」なのか|構造で理解する
「単価が先」という結論は、精神論ではなく計算から導かれます。ここでは、その構造を分解します。
単価を上げるとは、ビジネスモデルを磨くことである
まず前提を揃えます。単価を上げるというのは、値札の数字を書き換える作業ではありません。ビジネスモデルを磨くことです。価格とは「価格分の価値」であり、提供している価値が一定のまま価格だけを上げようとすれば、交渉は当然難しくなります。逆に言えば、自社のブランド、やり方、業務効率化などによって、お客様側にメリット(付加価値)がつく前提を作れば、価格は上げられます。値上げの記事や研修で「交渉術」が語られがちですが、実務で効くのは交渉のテクニックではなく、上げてよい理由を先に作ることです。順番はここでも同じで、価値が先、価格は後になります。
「単価交渉できない」の根本原因は、付加価値がついてこないこと
多くの社長が「うちは単価交渉ができない」とおっしゃいます。この言葉の中身を掘っていくと、取引先が強硬だからという理由よりも、提案する側として、どうしても割高感を感じてしまうという感覚に行き当たることが少なくありません。単価交渉ができないと感じる根本の原因は、付加価値がついてこないことにあります。自分が「この金額をいただく理由が説明できる」と思えていれば、伝え方の問題は残っても、交渉自体は成立します。つまり、単価の問題は交渉の場で起きているのではなく、その前段の商品・サービスの設計で起きているということです。ここに手を入れないまま値上げだけを試みると、失注の不安が先に立って動けなくなります。
給料が1.2倍・粗利が500円→400円の会社に、何が起きるか
構造を数字で見たほうが早いので、簡単な例で示します。以下の数字は仕組みを説明するための例示であり、特定の会社の実績値ではありません。
| 項目 | これまで | いま(原価高騰・賃上げ後) |
|---|---|---|
| 1件あたりの粗利 | 500円 | 400円 |
| 社員1人に払う給料 | 1.0 | 1.2倍 |
| 同じ給料を払うために必要な販売件数 | 2件と少し | 3件 |
給料が1.2倍になる一方で1件あたりの粗利が2割減れば、これまで2件と少しで足りていたものを、3件売らなければならなくなります。ここで問われるのは、その1件分を誰がどうやって増やすのかという点です。単価を触らずに給料を確保しようとすると、従業員側の生産性が上がらない限り、同じ給料を払える理由がありません。賃上げの原資が出ないという悩みの多くは、意思の問題ではなくこの計算に由来しています。
粗利が取れなくなるのは、ビジネスモデルが壊れかけている合図
もう一段、深いところに触れます。粗利が取れなくなってきているということは、ビジネスモデルが壊れていっているということです。これは厳しい言い方ですが、経営の現実として正確だと考えています。粗利率の低下は、単に「今期の数字が悪い」という話ではなく、提供している価値と受け取っている対価のバランスが崩れ始めているというサインです。そしてもっとも危険なのは、キャパシティがほぼ最大で、原価高騰により一人当たり粗利が減っている状態で人を増やすことです。この状態で増員すると、採るほど赤字が膨らみます。新しく入った人が生む粗利は、下がった分を埋めるために消えていき、利益は増えないまま人件費だけが積み上がるためです。
監修税理士 塩谷宣弘の見解
私が社長からこのご相談を受けたとき、最初に申し上げるのは「人か単価かで言えば、どの企業も最優先事項は圧倒的に単価です」ということです。そして一人当たりの粗利が減っている状態で人を入れても、下がった粗利を埋めるために人を入れるだけです。利益は増えず、人件費だけが増えます。ここは感覚ではなく計算で確認できます。私たちが月次で見ているのも、まさにこの一点です。単価交渉ができないとおっしゃる社長は多いのですが、その根本の原因は付加価値がついてこないことにあると考えています。だから提案する側として、どうしても割高感を感じてしまうのです。
【無料経営診断のご案内】御社の一人当たり粗利が、去年より増えているか減っているかを一緒に確認しませんか。 直近2〜3期の試算表または決算書をお持ちいただければ、いま増員に踏み込める状態なのか、それとも単価を先に見直すべき状態なのかを30分で整理してお返しします。相談は無料・オンライン対応可・秘密厳守で、強引な勧誘は一切いたしません。
無料経営診断を申し込む
自己診断:いま増員に踏み込める状態でしょうか
一般論として読むよりも、自社の現在地を確かめたほうが早いと思います。次の項目に、いくつ当てはまるかを見てみてください。
✅ 自己診断:あなたの会社はいくつ当てはまりますか?
- 一人当たりの粗利が、去年より増えているか減っているかを言えない
- 主要な商品・サービスの単価を最後に見直したのが、3年以上前である
- 増員を検討しているが、業務改善には手をつけていない
- 「人が足りない」と感じているが、どの業務で何時間足りないのかは整理していない
- 粗利率が下がっているのに、その原因がどの商品・どの取引先なのかが分からない
- 売上は伸びているのに、利益が同じように伸びていない
- 人を増やしたあと、いつまでにいくらの粗利を生んでもらうかを決めていない
3つ以上当てはまる場合、増員の判断材料がまだ揃っておらず、採るほど利益が薄くなる状態に入っている可能性があります。
判断の順番|5つのステップで決める
ここからは、実際にどう決めるかです。次の5つの順番で確認してください。
- 一人当たり粗利の推移を見る——増えているか減っているか、それだけを確認します。
- 減っていれば、増員はいったん止める——先に粗利をどうするかへ全力を注ぎます。
- 増員の前に、業務改善をやったかを確かめる——効率の悪い仕事に人を足していないかを見ます。
- 単価を上げてよい理由(付加価値)を作る——交渉ではなく、設計から入ります。
- 例外に当てはまるかを確認する——採用が先になる状態も、確かに存在します。
ステップ1・2:一人当たり粗利が減っていれば、増員は止める
「今は人を増やすべきでない」と申し上げるのは、決算書のどこを見たときか。答えは粗利が減っているときです。より正確には、従業員一人当たりの粗利が前期より減っているときです。この状態で増員すると、新しく入った人の働きは「他の社員の給与を維持するため」に使われる可能性が高くなります。会社としては人が増えて忙しくなるのに、利益は変わらない——これが最も報われない状態です。ですからこの段階では、採用の検討をいったん止め、粗利をどうするかに全力を注ぐほうが結果的に早くなります。粗利率が下がっている原因を、商品別・取引先別に分解して特定するのが最初の作業です。
ステップ3:増員の前にやるべきことは、業務改善
もう一つ必ず確認したいのが、業務効率の改善に手を打った上での増員なのかという点です。慣習化したやり方をそのまま残して人を足すと、非効率がそのまま人数分に拡大します。実際によく見かけるのは、次のような業務です。
| よくある非効率 | 本来どうすべきか |
|---|---|
| 印刷を前提に組まれた業務フロー | データのまま完結させ、印刷の工程自体をなくす |
| 毎日繰り返される単純なルーティン作業 | 自動化の対象として切り出す |
| 雇用契約書などを毎回文書ソフトで手直しする | 雛形を整え、差分だけを入れる形にする |
| 資料を探す時間(どこに何があるか分からない) | 保存場所と命名のルールを決める |
いずれも、自動化やAIの活用で解決できる領域です。ここに手をつけずに人を増やすと、とくに固定部門(間接部門)の人員増という形で表れます。固定部門の人が増えるのは、会社が利益を出せない構造のど真ん中に踏み込むことになります。直接的に粗利を生まない人員が増えるためです。増やしてはいけないという意味ではなく、増やす前に「本当にこの人数が必要な業務量なのか」を確かめる必要があるという意味です。
ステップ4:単価は「上げてよい理由」を作ってから上げる
単価を上げる作業は、交渉の前に設計から入ります。具体的には、自社のブランド、提供のやり方、納期、業務効率化による取引先側のメリット——このいずれかで、お客様にとっての価値が増える形を作ります。そのうえで価格に反映させます。実務では、すべての取引先を一律に上げようとして止まるケースが非常に多いので、まずは取引先別・商品別の粗利額を出し、どこから着手するかを決めるところから始めてください。なお、価格転嫁は自社だけの課題ではありません。経済産業省・中小企業庁の価格交渉促進月間フォローアップ調査(2026年3月分)では、価格交渉が行われた割合が90.7%、価格転嫁率は54.2%と公表されています。コスト要素別では原材料費55.7%、労務費50.0%、エネルギーコスト48.9%で、労務費とエネルギーは半分程度しか転嫁できていないのが全体の状況です。交渉自体は広く行われており、問題は「交渉するかどうか」ではなく「どれだけ通せるか」に移っていると読めます。
(出典)経済産業省・中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査の結果を公表します」
ステップ5:それでも「採用が先」になる3つの状態
原則は単価が先ですが、例外は確かにあります。次のいずれかに当てはまる場合は、値上げより先に採用へ動くべきです。
- 市場が溢れていて、採用・営業・サポートがまったく追いついていない——かつ粗利が十分に確保できている状態。この場合は、人を入れないこと自体が機会損失になります。
- 粗利が伸びている、またはより高付加価値な商品を販売できている——人を増やせば、より大きな利益を獲得できる局面です。
- 退職で大きな穴が空いたときに対応できない、または社長自身が稼働しないと現場が回らない——この状態が見えているなら、採用に着手しないと組織として成り立ちません。
3つを並べると共通点が見えます。いずれも「粗利が確保できている」または「粗利が伸びている」ことが前提になっている点です。つまり例外もまた、粗利という同じ物差しで判断できます。粗利が減っているなら単価が先、粗利が確保できているなら採用も選べる——判断基準は最後までこの一本です。
▶ 関連コラム:労働分配率の目安|30〜50%の使い方(増員後に払える給与の総額を、粗利から逆算する考え方)
実務ポイント|両方を同時にやった会社に起きること
ここからは、実際に単価改善と増員を同時に進めた会社で何が起きたかをお伝えします。結論として、両方やること自体は悪くありません。会社は伸びていきます。ただし、必ず気をつけていただきたい注意点が2つあります。
注意点1:「こんなに人はいらなかった」が起きる
1つ目は、粗利改善と業務効率化を進めた結果、「こんなに人はいらなかった」となることです。改善余地が大きい状態のまま、思わず人を多く入れてしまうと起こります。改善が進むと同じ業務量を少ない人数でこなせるようになるため、増員前の感覚で採った人数が過剰になるのです。これは採用が失敗したという話ではなく、順番を同時にしたことによる読み違いです。防ぐ方法は単純で、業務改善の効果が数字に出てから、必要人数を計算し直すことです。改善の途中で人数を確定させないでください。
注意点2:人が増えると、業務も膨張する
2つ目のほうが重要で、かつ知られていません。人が増えると、業務も膨張します。同じ10件の取引先を2人で見ればパンパンの状態です。そこで3人にすると、最初は余裕が出ます。ところがしばらくすると、「なぜか同じ件数でも3人でパンパン」になります。件数は増えていないのに、業務量が増えているのです。これは誰かが手を抜いているからではなく、人数に仕事が合ってくるという業務そのものの特性です。だからこそ、増員の判断でも増員後の検証でも、見るべき数字は一人当たり生産性(一人当たり粗利)が減っていないかの一点に尽きます。この数字を毎月追っていない会社では、業務の膨張は必ず見過ごされます。
判断の物差しは「一人当たり粗利」ひとつでよい
ここまで出てきた論点を、あえて一つに絞ります。見るべき数字は、一人当たり粗利の推移です。減っているなら単価が先。維持または増えているなら、増員は選択肢に入ります。増員したあとも同じ数字を追い、下がり始めたら業務の膨張を疑う。この一本で、増員・値上げ・業務改善の3つの判断がつながります。なお、自社の粗利水準や人件費の水準が同規模・同業種と比べてどのあたりにあるかは、財務省の法人企業統計調査で確認できます。中小企業全体の労働生産性や稼ぐ力の傾向は中小企業庁の中小企業白書で把握できます。ただし外の平均は参考であって、判断の軸は自社の推移です。
(出典)財務省「法人企業統計調査」/中小企業庁「中小企業白書」
私たちが毎月、どう関わっているか
参考までに、Actvision税理士法人の関わり方をお伝えします。私たちは毎月お会いする契約しか結んでいません。担当者と社長のマンツーマンで1時間半から2時間、試算表を挟んで議論します。この議題のなかで、増員と単価の話はほぼ毎回登場します。進め方は、まず粗利率と一人当たり粗利の増減を実数でお示しし、社長のイメージと合っているかを確認するところから始めます。ズレがあれば、その理由を掘ります。そのうえで「もしこの粗利率のまま1人採用すると、年間の人件費と粗利のバランスはこうなりますが、どうでしょうか」という形で数値的なインパクトに変換してお返しします。面談の最後には「決めていただきたいこと」「次回までに実行していただきたいこと」をお渡しし、動きが必要な案件は2週間に1回の打合せで確認します。増員は取り消しが難しい判断なので、この場で必ず数字に落としてから決めていただいています。
▶ 関連コラム:月次決算の活用法|経営判断に変える型(毎月の数字を、こうした判断にどう変えていくか)
ここまでが、どの会社にも共通する判断の順番です。ここから先は、御社の一人当たり粗利と粗利率の推移、そして商品別・取引先別の粗利の内訳が分からないと、増やすべきか上げるべきかの答えは出せません。同じ「人が足りない」という状態でも、粗利が伸びている会社と減っている会社では、打つべき手が正反対になるためです。
監修税理士 塩谷宣弘の見解
私が一番お伝えしたいのは、人が増えると業務も膨張するということです。同じ10件の取引先を2人で見ればパンパン、3人にすれば最初は余裕が出るのに、しばらくすると「なぜか同じ件数でも3人でパンパン」になるんです。人数に仕事が合ってくるんですね。だから私たちは、増員のあとも一人当たり粗利を毎月追い続けます。それから、もう一点。粗利が取れなくなってきているということは、ビジネスモデルが壊れていっているということです。私はこれを、今期の数字が悪いという話ではなく、事業の設計に手を入れる時期が来たという合図として受け取っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 人を増やすのと単価を上げるのは、どちらを先にやるべきですか?
原則は単価が先です。人か単価かで言えば、どの企業も最優先事項は圧倒的に単価だと考えています。単価が整っていない状態で人を増やすと、増えた人は下がった粗利を埋めるために働くことになり、利益は増えないまま人件費だけが増えます。ただし、粗利が十分に確保できていて市場が溢れている場合など、採用を先にすべき例外もあります。判断の分かれ目は一人当たり粗利が減っているかどうかです。
Q2. 「今は人を増やすべきでない」と判断するのは、決算書のどこを見たときですか?
粗利が減っているときです。とくに従業員一人当たりの粗利が前期より減っている場合は、増員を止めて先に粗利の改善に全力を注ぐことをおすすめします。この状態で人を入れると、新しく入った人の働きが「他の社員の給与を維持するため」に消えてしまう可能性が高いためです。あわせて、業務効率の改善に手を打った上での増員なのかも確認してください。
Q3. 単価交渉ができないのですが、どうすればよいですか?
交渉のテクニックより、上げてよい理由を先に作ることをおすすめします。単価交渉ができないと感じる根本の原因は、多くの場合付加価値がついてこないことにあります。だから提案する側として割高感を感じてしまうのです。自社のブランド、提供のやり方、納期、業務効率化による取引先側のメリットなど、お客様に価値が増える形を作ってから価格に反映させるという順番にしてください。
Q4. 増員と値上げを同時に進めても問題ありませんか?
同時に進めること自体は悪くありませんし、会社は伸びていきます。ただし2つ注意点があります。1つは粗利改善と業務効率化が進んだ結果「こんなに人はいらなかった」となること。もう1つは人が増えると業務も膨張し、同じ件数でも人数分だけ忙しくなることです。どちらも、一人当たり粗利が減っていないかを毎月確認することで早期に気づけます。
Q5. 一人当たり粗利は、どうやって出せばよいですか?
粗利(売上高から売上原価を引いた額)を、従業員数で割るだけです。まずは全社の数字で、前期と当期を並べて増減を見るところから始めてください。精度を上げるなら、パート・アルバイトを常勤換算するなどの調整も可能ですが、最初から精緻にする必要はありません。大切なのは増えているか減っているかの方向で、これは粗い計算でも十分に読み取れます。※算出方法や人件費の範囲は自社の実態に合わせて調整が必要なため、詳細は担当税理士にご相談ください。
まとめ|判断の物差しは、一人当たり粗利ひとつ
この記事でお伝えしたことを整理します。
- どちらもやるべきだが、順番は圧倒的に「単価が先」
- 単価を上げるとはビジネスモデルを磨くこと。価格は「価格分の価値」で決まる
- 「単価交渉できない」の根本原因は、付加価値がついてこないこと
- 粗利が取れなくなるのは、ビジネスモデルが壊れかけている合図
- 一人当たり粗利が減っている状態で増員すると、採るほど赤字が膨らむ
- 増員の前にやるべきことは業務改善。固定部門の人員増は、とくに慎重に判断する
- 採用が先になる例外は3つ。いずれも粗利が確保できている/伸びていることが前提
- 同時に進めるなら、「人はいらなかった」と「業務の膨張」の2つに備える
- 判断の物差しは一人当たり粗利の推移ひとつでよい
人を増やすか単価を上げるかという問いは、突き詰めると「いまの粗利で、その人件費を払い続けられるか」という一つの問いに帰着します。答えは決算書のなかにあります。まずは直近2〜3期の粗利を従業員数で割って、増えているか減っているかだけを確かめてみてください。減っていれば、採用の検討より先に手を打つべきことがあるということです。
【無料経営相談のご案内】直近2〜3期の試算表または決算書をお持ちください。 一人当たり粗利がどう動いているか、いま増員に踏み込める状態なのか、単価を先に見直すならどの取引先からかを、30分で整理してお返しします。相談は無料・秘密厳守・オンライン対応可で、相談だけで終えていただいて構いません。強引な勧誘は一切いたしません。現在の顧問税理士との関係を壊さない進め方をお伝えします。
無料経営相談はこちら
関連コラム・お役立ちリンク
- 値上げの判断基準|失う客と残る利益(どの取引先から単価を見直すかの決め方)
- 労働分配率の目安|30〜50%の使い方(粗利から払える給与の総額を逆算する)
- 中小企業の採用|採用コストの考え方と応募を集める方法(増員を決めたあとのコスト設計)
- 人材確保と賃上げ|中小企業の利益構造と給与設計(賃上げの原資をどこから作るか)
- 月次決算の活用法|経営判断に変える型(毎月の数字を判断に変える型)
- 試算表が遅い会社の立て直し方|基準は翌月末(そもそも毎月の数字が出ていない場合の第一歩)
- 税理士の選び方|事業計画を任せられるか(増員計画を数字で一緒に組める相手かの見極め方)
- 無料経営相談・経営診断のお申し込み(一人当たり粗利の推移診断も承ります)