「取引先ごとの粗利を出したい。でも、どこから手をつければいいか分からない」――中小企業の経営者から非常に多く受ける相談です。経理に頼むと「正確に出すには数ヶ月かかります」と返ってくる。そこで止まってしまう会社がほとんどです。本記事では、取引先別・商品別の粗利を大枠で早く作る手順と、出てきた数字が想定とズレていたときに最初に何を動かすかを、税理士の実務目線で解説します。

この記事の結論:取引先別の粗利は、正確性より先にスピードで作ります。1回目から完璧を目指すと、経営判断をする前に表づくりだけで3〜4ヶ月が消えるからです。手順は、①売上は請求書から取引先別に分ける ②原価は金額の大きい主力の仕入単価だけを置き、簡単に分けられないものは「共通」でひとまとめにする ③損益計算書(PL)と突き合わせて大きな差がなければ、その想定は概ね合っていると判断する。目的は正確な利益率を取ることではなく、「売上を上げれば利益が上がる利益構造になっているか」の大枠を確認することです。そしてズレが見つかったら、最初に見るのは仕入価格ではなく販売価格――特定の取引先で安くなりすぎていないかを確認します。

取引先ごとの粗利が、なぜいつまでも出てこないのか

取引先別の粗利表をタブレットで確認する中小企業の経営会議
取引先ごとの粗利は、完璧な表ではなく大枠から作り始める

まず前提をひとつ共有させてください。取引先別の粗利が出ていないのは、御社が遅れているからではありません。

ほとんどの中小企業は、そもそも持っていない

客数・客単価、あるいは顧客ごとの利益を取っている中小企業は、ほとんどありません。これは実感としてはっきりしています。決算書は毎年できあがり、試算表も毎月出ている。それなのに「A社との取引で、いくら粗利が残っているか」という問いには答えられない。この状態の会社が大多数です。だからこそ、まずそれを取っていくところからのスタートになるという点自体が、大事なポイントになります。「うちだけができていない」と思う必要はありません。ただし裏を返せば、これを持っている時点で、同業のほとんどより一段深く経営判断ができる状態になります。決算書に出てくるのは会社全体の粗利率です。全体が25%だったとして、その内訳が「全社25%前後」なのか「40%の先と5%の先が混ざって平均25%」なのかで、打つ手はまったく変わります。全体の数字だけを見ている限り、この違いは永久に見えません。

「莫大な時間がかかる」と言われて、そこで止まる

次に起きるのが、着手前に止まるという現象です。取引先別の粗利を出そうという話をすると、ほぼ確実に「莫大な時間がかかるのでできません」という声が出ます。マスターを整備して、単価を全部洗い直して、過去分も遡って――と積み上げていくと、確かに膨大な作業になります。そして多くの会社では、この見積もりが出た時点でプロジェクトが立ち消えになります。ここで押さえておきたいのは、その見積もりは「完璧な粗利表」を作る場合の時間だということです。経営判断に使う大枠を作るだけなら、必要な時間はまったく違います。まずやるべきは「形を作る」ところです。精度の話は、形ができてから始めれば間に合います。順番を逆にすると、いつまでも形ができません。

いちばん付き合いの長い取引先の利益率を、答えられるか

もうひとつ、御社の現在地が分かる質問があります。いちばん付き合いの長い取引先の粗利率を、社長は答えられるでしょうか。この問いが効くのは、長い付き合いの先ほど利益率が下がっている可能性が高いからです。昔からの関係で価格を据え置いたまま、仕入や人件費だけが上がっている。あるいは「次でしっかり利益を出してもらえばいい」という了解のまま、その「次」が来ていない。感覚では「あそこは付き合いも長いし、いい取引先だ」と思っている先が、数字で見ると最も薄いということは珍しくありません。この確認ができないままだと、値上げの相談をしようにも、どこから交渉すべきかが決められません。取引先別の粗利表は、この一点を確かめるためだけでも作る価値があります

止まる原因は、最初から完璧を目指していること

取引先別の粗利を正確に出そうとして時間がかかる経理の作業
「正確に出す」を先に置くと、経営判断の前に数ヶ月が失われる

取引先別の粗利が出てこない原因は、ほぼ1つに集約されます。1回目から完璧なものを作ろうとしていることです。しかもこれは、社内の2方向から同時に起きます。

経理の「ちゃんと出しましょう」が、3〜4ヶ月を消す

まず経理側の思考です。数字を扱う立場としては当然ですが、「利益を出すならちゃんと出さないといけない」という発想になります。マスターを調整して、半年以内に正確な数字を――という話になりがちです。この姿勢そのものは正しいのですが、経営判断の材料としては話が別です。1回目から完璧を目指すと、経営判断に必要な情報を集めてどう動くかを決める前に、粗利表を作ることに3〜4ヶ月をかけることになります。正確性と引き換えに、失われているのは時間です。そして経営において、時間は取り返せません。3ヶ月かけてガチガチに合わせた結果が「改善の余地はないと分かっていたけれど、やはりそうだったね」で終わるのであれば、それは今すぐやるべきことではありません。この判断ができるかどうかが、着手できる会社とできない会社の分かれ目になります。

経営者の「1社見て全然違うやないか」も、同じ罠

もう一方は経営者側です。大枠で作った表なので、当然ズレます。そこで1つの取引先を見て「これは全然違うやないか」と言い出すと、どうなるか。現場は「では正確に作り直します」となり、マスターの準備、運用、テスト、検証を経て、「絶対に正確な粗利」が1年後に出てくることになります。粗利を出して経営判断をしたかったはずが、粗利表を作ることが目的に変わってしまう。これでは意味がありません。大枠の表には、寛容性と弾力性を持って向き合う必要があります。細かい1社が合っていないことより、全体の傾向として想定と合っているかどうかを先に見る。違和感のある1社は「検討が必要な候補」としてメモしておき、必要になった段階で詳細なデータを集めれば十分です。

難しいのは売上ではなく、原価のほう

技術的な話もしておきます。取引先別の「売上」は、たいてい今ある資料で分けられます。請求書があるからです。売上先ごとの請求金額は必ず取れるはずで、ここで詰まる会社はほとんどありません。難しいのは原価側です。ただしここも、対応する原価をざっくりからでよいので分けていくと考えれば進みます。分ける手がかりは、商品・製品ごとの仕入単価マスターのうち、金額を大きく占めているものです。仕入も商品ごとに行っているはずなので、標準の仕入価格を置けば、取引先ごとの原価は十分に推定できます。いきなり全部をガチガチにして数字を合わせることは、どこまでいっても目的ではありません。そして多くの会社は、主力商品でほとんどの売上を上げています。だから主力商品・主力販売先に絞れば、作業量は一気に現実的な範囲に収まります。

(出典)取引先との価格交渉・価格転嫁の実態は経済産業省・中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査の結果を公表します」で公表されています(回答69,625社/価格転嫁率54.2%、原材料費55.7%・労務費50.0%)。業種別・規模別の売上高や利益率の水準は財務省「法人企業統計調査」で、中小企業の収益構造の全体像は中小企業庁「中小企業白書」で確認できます。

▶ 関連コラム:原価率が合わない|社内管理と決算のズレ(そもそも全社の原価率が社内の感覚と合わないときは、こちらが先です)

監修税理士 塩谷宣弘の見解

私がこの話をするときに必ずお伝えしているのは、客数・客単価、あるいは顧客ごとの利益を取っている中小企業は、ほとんどないということです。ですから、まずそれを取っていくところからのスタートになります。そして大事なのは、スピード感を持って、大枠でもいいので「利益率がどうなのか」が見える状態を作ることです。いきなり全部をガチガチに合わせることは、どこまでいっても目的ではありません。取引先別の売上は、たいてい今ある資料で分けられます。難しいのは原価のほうですが、そこもざっくりからで構いません。1回目から完璧を目指すと、判断する前に3〜4ヶ月が過ぎてしまいます。

✅ 自己診断:あなたの会社はいくつ当てはまりますか?

  • 取引先別の粗利額・粗利率を、毎月は見ていない
  • いちばん付き合いの長い取引先の粗利率を、その場で答えられない
  • 粗利表を作ろうとしたが「時間がかかる」と言われて止まっている
  • 商品別の粗利を出したことがない、または過去に一度出したきりになっている
  • 会社全体の粗利率は分かるが、その内訳の幅(高い先と低い先の差)を把握していない
  • 値上げを検討したいが、どの取引先から交渉すべきか決められない
  • 「あそこは付き合いが長いから」という理由で、価格を据え置いている先がある

3つ以上当てはまる場合、売上を増やしても利益が増えにくい構造が社内に残っている可能性があります。

大枠の粗利表を、4つのステップで早く作る

請求書と仕入単価から取引先別の粗利を組み立てる中小企業の打合せ
売上は請求書から、原価は主力の仕入単価から。まず形を作る

やることはシンプルです。完璧を目指さず、判断に使える大枠を最短で作る――具体的には次の4ステップで進めます。

  1. 売上を、請求書から取引先別に分ける(ここは既存資料でほぼ完了する)
  2. 原価は、金額の大きい主力の仕入単価だけを置く(細かい費目は「共通」でひとまとめ)
  3. 損益計算書(PL)と突き合わせ、大きな差がなければ想定は概ね合っていると判断する
  4. 毎月少しずつブラッシュアップし、商品別・担当者別へ細かくしていく

Step1・2:売上は請求書から、原価は主力の仕入単価から

最初の2ステップは、既存の資料でほとんど片づきます。売上は請求書ベースで取引先別に並べる。原価は、商品・製品ごとの仕入単価マスターのうち金額を大きく占めているものを拾い、標準の仕入価格を置いて推定する。ここで迷いが生まれるのが、直接ひも付かない費目の扱いです。判断は次のとおりシンプルに割り切ります。

費目扱い理由
人件費・家賃部署ごとに分かれていれば分ける事業部単位の利益が見えるため、判断が変わる
消耗品・通信費・電話代分けない分けても分けなくても、経営判断の結論が変わらない
その他の間接的な費目一旦「共通」で1つにまとめる配賦の議論で止まるほうが損失が大きい

原則は「簡単に分けられるもの以外は、一旦ひとまとめ」です。電話代を取引先別に按分しても、値上げするかどうかの判断は1ミリも変わりません。どれだけ分析しても、かけた労力の結果が「これ、どうなん」で終わってしまうケースは実際にあります。配賦の設計に時間を使うくらいなら、その時間で表を1周させるほうが得られるものは大きくなります。

Step3:PLと突き合わせて、大枠が合っているかを見る

ここが検算にあたる工程です。作った取引先別の粗利を合計し、損益計算書(PL)の粗利と突き合わせます。大きな差がなければ、その想定は概ね合っていると判断してよい。それで「どうなのか」という検討は十分にできます。逆に大きくズレているなら、置いた仕入単価か、拾い漏れた費目のどちらかに原因があります。この検算があるから、大枠でも安心して判断材料に使えます。そして忘れてはいけないのが、この段階でしばしば起きることです。大枠で見ただけでも、想定していた粗利とまったく違う数字になっていることがあります。その場合は、さらに検討が必要だと分かった段階で初めて詳細なデータを集めればよい。詳細なデータ収集は、最初にやることではなく、必要だと判明してからやることです。

Step4:目的は利益率ではなく「利益構造」の確認

最後に、この表で何を見るのかをはっきりさせておきます。利益率を取ることが目的ではありません。見たいのは、想定している利益率と実際の利益率がどの程度違うのか――つまり「売上を上げれば利益が上がる」という利益構造が、この会社に確保できているかどうかの大枠です。ここが崩れている会社では、売上を追えば追うほど忙しくなり、利益は増えません。構造が確保できていると分かれば、安心して売上拡大に舵を切れます。確保できていないと分かれば、先に手を入れるべきは価格と商品構成だと判明します。この一点が分かるだけで、次の1年の打ち手が変わります。そのうえで、大雑把に作った取引先別の利益を毎月少しずつブラッシュアップし、担当者別・商品別へと細かくしていく。精緻な管理体制は、時間をかけて作るものだと考えてください。

▶ 関連コラム:値上げの判断基準|失う客と残る利益(この表ができたあと、どこから価格を見直すかの判断)

実務ポイント|ズレが分かったあと、最初に何を動かすか

取引先別の粗利表を見ながら次の一手を議論する経営者と税理士
表を作って終わりにせず、ズレの原因を価格・商品の順で切り分ける

表ができると、必ず「想定と違う」という箇所が出てきます。ここからが本番です。手をつける順番は決まっています。

最初に見るのは、仕入価格ではなく販売価格

粗利が想定とズレていたとき、最初に見るのは価格です。ただし、仕入価格ではありません。仕入価格は基本的に安定しています。どの売上先に売るものでも、仕入れてくる価格は同じくらいである可能性が高いからです。したがって見るべきは売上の金額、つまり販売価格が特定の取引先で低くなりすぎていないかこれが、取引先別の粗利を見るときの基本的な考え方です。ここで見つかるのが、前半で触れた「付き合いの長い先ほど薄い」という構造です。とくに工事業のように案件ごとの条件が違う業種では、「一つ一つが特殊だから利益率は増減する」と説明されがちですが、取引先別に分けて見ることには、それでも大きな意味があります。特定の取引先から常に値引き交渉をされており、「次の工事で絶対に利益を出すから」という形でずっと利益率が低いまま、というケースは実際に多くあります。その状態は、御社がいちばん都合の良い外注先になっている可能性が高いということです。

価格に問題がなければ、次は商品別を見る

販売価格を確認して特に違和感がなければ、ズレの原因はそれ以外の部分にあります。次に見るのは商品別の粗利です。ここでよく出てくるのが、大量に売れているのに、価格競争が激しくて、売っても全く利益が出ないという状態です。売上の柱に見えている商品が、実は粗利をほとんど生んでいない。この構造は、全体の数字を見ているだけでは絶対に見えません。むしろ「売れているから」という理由で、その商品にさらに人と時間を投入してしまい、忙しさだけが増えていきます。売上構成比が高い商品ほど、粗利率を必ず確認してください。ここが判明すると、商品ラインナップの見直しという選択肢が現実味を持ちます。値上げが難しい商品であれば、そもそも力の入れどころを変えるという判断もあり得ます。

特定の取引先に集まっていたら、経緯を伝えてから交渉する

ズレが特定の取引先に集まっていた場合、それは価格が安すぎるということです。ここでいきなり「値上げをお願いします」と切り出すと、多くの場合うまくいきません。順番として先に必要なのは、なぜ現在の価格が適正でないのか、その経緯をきちんと伝えることです。人件費の高騰をはじめとする各種のコスト上昇によって、価格がバランスしなくなってきた経緯を説明する。そのうえで、価格交渉を明確にやっていきます。なお、突然の値上げはできません。期間の目安としては、計画を作って交渉していく、あるいはラインナップの見直しを進めるといった動きによって、3ヶ月から半年くらいで何らかの成果が出始めることが多いです(内容によって差はあります)。数ヶ月の状況を見ながら、踏み切るか・提案するかを、その都度協議しながら決めていく形になります。

月次面談で、この表をどう使っているか

私たちは顧問先と毎月、試算表を挟んで1時間ほど議論します。取引先別の粗利表ができている会社では、議題は具体的になります。課題のある取引先を社長と一緒に見ながら、「これは販売価格の問題なのか、商品別の問題なのか」を分析して明確にする。そのうえで、どれくらい回復させれば粗利がいくらになり、その結果どんな状態が待っていそうかを話します。数字の報告ではなく、次の一手を決める時間として使っています。この議論を毎月続けるうちに、表の精度も自然に上がっていきます。精度は、作り込んで上げるのではなく、使いながら上がるものです。

監修税理士 塩谷宣弘の見解

想定と実際の粗利がズレていたとき、私が最初に見るのは価格です。仕入価格は基本的に安定していて、どの売上先に売るものでも同じくらいの価格である可能性が高い。ですから、販売価格が特定の先で低くなりすぎていないかを見ます。そこで違和感がなければ、次は商品別です。そしてズレが大きいということは、価格が安すぎるということですから、なぜ今の価格が適正でないのか、その経緯をきちんとお伝えしたうえで、価格交渉を明確にやっていきます。この表を見て社長が驚くことは、実はあまりありません。「やっぱりそうか」を確かめる場だと思っていただくのがちょうどよいと思います。

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▶ 関連コラム:月次決算の活用法|経営判断に変える型(作った表を、毎月どう議論に載せるか)

ここまでが、取引先別の粗利を作るうえでどの会社にも共通する考え方です。ここから先は、御社の請求書と主力商品の仕入データが分からないと、「想定の利益率と実際の利益率がどれだけ違うのか」という肝心の数字は出せません。同じ業種・同じ年商でも、主力先の構成と商品ラインナップによって、ズレの出方はまったく変わるためです。専門家として先にお伝えしておくと、この場面で完璧な表を目指すことは、私たちはおすすめしていません。費用対効果に合わないからです。

取引先別の粗利に関するよくある質問

取引先別の粗利を出すのに、どれくらいの期間がかかりますか?

完璧な表を目指すなら3〜4ヶ月かかりますが、経営判断に使う大枠であれば、その必要はありません。売上は請求書から取引先別に分けられ、原価は主力商品の標準仕入単価を置けば推定できます。まずは主力商品・主力販売先に絞って形を作り、損益計算書(PL)と突き合わせて大きな差がなければ、その想定は概ね合っていると判断してください。精度は毎月ブラッシュアップして上げていくものです。

共通の経費は、どうやって取引先別に振り分ければいいですか?

簡単に分けられるもの以外は、一旦「共通」でひとまとめにしてください。人件費と家賃は部署ごとに分かれていれば分けますが、消耗品・通信費・電話代は分けません。分けても分けなくても経営判断の結論が変わらないためです。配賦の設計で止まってしまうことのほうが、会社にとっての損失は大きくなります。

粗利が想定とズレていたら、最初にどこを見ればいいですか?

販売価格です。仕入価格はどの取引先向けでも基本的に安定しているため、ズレの原因は「特定の取引先で販売価格が低くなりすぎていないか」にあることがほとんどです。販売価格を見て違和感がなければ、次は商品別の粗利を見てください。大量に売れているのに価格競争が激しく、利益がほとんど出ていない商品が見つかることがあります。

工事業のように案件ごとに条件が違う場合も、取引先別に見る意味はありますか?

むしろ工事業こそ、取引先別で見る意味が大きいと考えています。案件ごとに利益率が増減するのは事実ですが、取引先別に分けると、特定の先から常に値引き交渉をされ、「次の工事で利益を出すから」という形でずっと利益率が低いまま、という構造が見えてきます。その状態は、御社がその取引先にとっていちばん都合の良い外注先になっている可能性が高いということです。

価格の見直しに着手してから、効果が出るまでどれくらいかかりますか?

内容によりますが、計画を作って交渉を進める、あるいはラインナップを見直すといった動きによって、3ヶ月から半年くらいで何らかの成果が出始めることが多いです。突然の値上げはできないため、数ヶ月の状況を見ながら、踏み切るか・提案するかをその都度協議して決めていく形になります。着手前に、なぜ現在の価格が適正でないのかという経緯を整理しておくことが前提になります。

まとめ|完璧な表より、来月から使える表を

取引先別の粗利をもとに価格交渉を進める中小企業の商談
大枠の粗利表があるだけで、価格交渉の材料と順番が決まる

取引先別の粗利表は、正確性より先にスピードで作ります。売上は請求書から取引先別に分け、原価は主力の仕入単価を置き、簡単に分けられない費目は「共通」でひとまとめ。合計を損益計算書(PL)と突き合わせて大きな差がなければ、判断材料として十分に使えます。目的は正確な利益率を取ることではなく、「売上を上げれば利益が上がる利益構造になっているか」を確かめることです。

そして表ができたら、次の順番で手を打ちます。①販売価格が特定の先で低くなりすぎていないか ②価格に問題がなければ商品別の粗利 ③ズレが集まっている先には、経緯を説明したうえで価格交渉。効果が出始めるまでの目安は3ヶ月から半年です。1年後に出てくる完璧な表より、来月の判断に使える大枠の表のほうが、会社を前に進めます。

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監修者 Actvision税理士法人 代表社員税理士 塩谷宣弘

監修者

塩谷 宣弘(Actvision税理士法人 代表社員税理士)

28歳で税理士試験に合格。KPMG税理士法人にてM&Aタックスアドバイザリーグループに2年、インターナショナルコーポレートタックス部に2年在籍し、M&A税務と国際税務に従事。32歳でActvisionグループを創業し、銀行融資支援に特化して開業5年で従業員35名規模の税理士法人へと成長させる。融資支援歴12年。船井総合研究所の創業融資セミナーで講師を務めるほか、信用金庫の勉強会で創業融資の実態を講演。自社の組織課題と再建を経験し、マネジメント改革で離職率・組織力・営業力を回復させた実績を持つ。現在は「中小企業経営者の唯一無二のパートナーになる」を理念に、顧問先200社を支える税理士法人を母体として、2年で20社以上のコンサルティング契約・延べ70社の事業計画策定に携わり、理念経営・ビジネスモデル策定・経営管理・人事戦略・財務戦略を横断する中小企業特化のコンサルティングを提供している。(実績数値は2026年8月時点)

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最終更新:2026年9月